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今月のメッセージ


お稲荷さまの話

日垣宮主


 質問が一つ届いた。
 お稲荷様にお願い事をした後は きちんとお礼参りをしないと祟りに逢うと言われていますが本当ですか? と言う。
 お答えをする。
 稲荷大神と申しあげる神の世界がある。
 元明天皇の和銅四年に猿田彦命・ 大宮売命 ( おほみやのめ ) 倉稲魂神 ( うかのみたま ) ・三神を祭祀る神社が出来て国家鎮護の神の位を与えられているが 元来 稲荷神社が日本の国へ創られたのは帰化人の秦氏の守り神として外国から入ってきた神霊を日本国に祭祀したものである。
 此の辺りから稲荷神霊は二派に分かれる。
 日本神道に依る稲荷神は猿田彦や大宮売と申しあげる道案内の神や門の出入りを司る神であったり食物の神霊である。
 秦氏の守り神の場合は織物の神霊であるが単なる織物の守護神では無いのだ。
 昔から織物を織ることをハタオリの業と言って来た様に規則正しくリズミカルに人生を織り上げてゆく・民族の組織を調えながら次第に勢力を伸ばしてゆく霊力を祀って秦の氏神にしてきたのであるが、もう一つ秘められた祭祀があって 織り方を変える時、織物が変幻する霊力を祀ると 願い事成就の神霊 に成る。
 一仕事すれば必ず 代価 を要求される。
 此の代価が問題である。
 少し難しいが次の説明をお聞き願う。
 神霊は目に見えない。
 その神霊が織り上げてゆく 機織 ( はたお ) りに添って織る衣服を人が身に着ける。
 衣服が身分を表す時代があった。
 貴族の着用する衣服に権威が生まれた。
 その権威に衣服の影が結び、その影に機織りを助けた神霊が入り込んだのだが、やがて其の影が独立して、 衣成 ( いな ) りの霊になる。
 お衣成りさまの誕生だ。
 此の衣成りが自在神の動きを持つと人間の身体そのものを衣成りの衣服にして、人間へ 憑依 ( ひょうい ) する様になった。
 人間の皮を着たイナリが生まれる。
 次に
 霊界と言う世界があって此の世界に白狐・銀狐・金狐・と名付けられる狐霊が存在する。
 宮主が曽て見た白狐の霊の神社に立つ鳥居は白色の鳥居で大変品の良い光を放っていたが此の神社は東京の有名な神社であった。
 以下、 野狐霊 ( やこれい ) と称する霊群があって此の者達が衣服の 衣成 ( いな ) りの仲間へ入ると大変だ、仁義も礼儀も無視する無軌道霊力を発揮する。
 人に欲望がある。
 物欲を稲荷神へ祈り込む。
 高貴の神に物慾は無いので、物慾の祈りは此の野狐霊群へ届く その結果、生活は良くなっても必ず其の代価を要求される結果がある。
 では其の代価は如何ほどになるかと言うと今迄宮主が見る限り、人体の精気・精力・を吸い取られる様である。
 世の中に霊感・霊力・を誇る者が往々にして此の様なイナリの霊に憑依された結果、その死期に於いて肉体と精神を抜き取られると言う様相を見る。
 斯う言う訳であるから、お礼参りせぬと祟りがあるなどと言う思いは通用しない。
 吾が身に代えての取引きを要求されると知っていただきたい。
 故に
 尊貴なる稲荷神社に対する礼儀とは一個人の慾望を越える大義を以て相対することと申しあげる。

二〇一〇年四月一日


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