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今月のメッセージ


お供えものの神秘

日垣宮主


  宮主が住んでいる神奈川県足柄上郡の山北町の奥に 箒沢 ( ほうきさわ ) と言う村があって小高い丘の上に樹齢が三千年を越えると思われる杉の大木が立ち  箒杉 ( ほうきすぎ )   と呼ばれています。
 其処から山の奥へ入って行くと美しい流れの渓流があります。
 その川の向こうが奥の山で、山へ入る者は必ず此処に祀る山神様にお参り致します。
 昔から、山入りの前に此の山神に参る人は災難から守られてきたそうであります。
 昔から建てられていた神社地に石の博物館が出来ましたので山神の神社を右側の丘の上へ移転させることになりました。
 神縁がありまして私が此の神社へ山神の神霊を奉齋致しました。
 その折
 箒杉の祭祀をする事になり、それ以後、毎年六月と十二月に箒杉へ〆縄を張り更える祭祀を続けております。
 一本の杉の木が丹沢山の山神達を集めて宮主の祭祀を御受けくださいます。
 今年の十二月二十九日、〆縄を張り更えましたが其の折、いつもお供えする 鏡餅 ( かがみもち ) を差し上げませんでした。
 餅を造ってくださる人の都合で祭祀の時間に間に合わなかったのです。
 米 麦 粟 大豆 小豆 の五穀に 素饌 ( そせん ) と申しまして、水 酒 米 塩 をお供えして祭祀を終了致しましたが、鏡餅をお供えせねばならないことがありまして翌る朝、鏡餅だけ持って行って戴きました。
 そして其の訳を申しあげました。
 神前にお供えする神饌は何故差し上げるのですか、神様が食べるのでしょうか。
 人間の様に肉体を持たない神様ですから食物を食べません。
 食べない食物を何故差し上げねばならないのでしょうか。
 箒杉の祭祀の例を申します。
 お三宝の様に小さな器の上に載せる餅は小さなお餅ですが、その前でお祀りを致しますと其の餅が見る見る巨大な餅に変わってゆきます。光の粒子で造り上げる餅が出現しますと、其処に山の神々が手を差しのべます。
 其の手の中へ餅が入ります。百 千 万 と数えられる程の手に餅が渡ってゆきますのに少しも餅が減りません。
 然うか 神饌 と申しますのは是の事であるのかと思い知ります。
 餅がかがみの粒子波に ( ) って新年を迎える鏡になるのです。
 是れでは山神様がお供えを御待ち下さるのは当然の事でありました。
 神饌と申しますが、此の様に神気次第で無限神力に成るのでした。
 ですから、本当は、 祭祀 ( まつり ) の内容に依って奉るお供え物も変わらねばならなかったのです。
 然しながら、誰が 何処で  如何 ( いか ) なる祭祀をしても斯うなる道理はありません。
 是れも神法に関わる知識の一つと思って記しました。

2012年1月1日


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