今月のメッセージ
人の誕生と老衰の話
日垣宮主
人の寿命とは如何ほどのものでありましょうか。
明治の頃の日本の人寿は凡そ六十年と言われ人生は五十年を以て終わると思われた様であります。
それが現代に到る迄次第に長生きできる様になって凡そ八十歳から九十歳までを平均寿命と伝えます。
何故、寿命が延びたのでしょうか。
医術が発達して、延命の手を差しのべる様になったのですと言うのが其の答えの様でありますが、確かに延命の術が発達した代わり、老人の痴呆者が増加し続けております。
私は老人性痴呆症の介護に疲れる若者達から相談を受け乍ら、その度に一人ひとりの心になって対応の心得を述べてきましたが、或る日、神前に坐っている時、気が付きました。
老人が痴呆化するのでは無かったのです。
自然の流れでありました。
私は人相学をいささか心得ておりまして、人生を一歳から六十歳迄の運勢を 人の顔 で判断致します。
顔の
額
の髪の生え際を
髪際
と名付けて、一歳をこの髪際に致します。
そして
愕
の一番下を六十歳の運に致します。即ち人生が此処で一段落であります。
人の顔に一歳から六十歳迄の運勢が出ておりまして、六十一歳になりますと改めて此処から上へ数え始めるので 人寿暦 で申しますと暦の
初発
に還る訳であります。
還暦が六十一歳であると言う言葉が生まれます。
巷間、人は元来百二十歳迄生きられる運を持ちますと言う伝えごとの意味が此処にありまして、髪際と言う顔の中の 天 から地へ向けて下りて来る人生が愕
の下(地閣と言います)の地から上へ向けて数え上って参ります、そして終点が百二十歳と言うことに成ります。
そこでお考えいただきたい。
生まれた赤児は自分の意志で食べられず、自己の力で御尻の始末は出来ません。
思考力も稀薄です。
六十歳から天上へ昇るにつれて生まれた頃の状態に入って参ります。
そして昇天致します。
ですから、痴呆も物忘れも自然の流れと改めて思い知った次第であります。
2012年3月1日