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今月のメッセージ


彼岸の神様

日垣宮主


 日本の国は祭祀国と申しまして国土全体が祭祀の息づきを致します。
 そもそも祭祀と申しますのは日と月の息づきから生まれる 生命の営みでございます。
 日本民族も日と月と大地の息づきで発生致しまして、天と地が此の息づきに依って保たれているなど誰一人として感覚致しません。
 全国に昔から伝はる神社の祭祀は此の国土に生まれ民族と共に発展する此の国土の舞ひ姿なのです。
 世界中何処へ行っても日本民族の様な祭礼はございません。
 国土と国民が一つになって舞ひ踊るのは日本と云う山野と民族だけなのです。
 古事記と申します神伝への書には日本民族が何処から発生したかを説きますが、天と地が生まれる時、一緒になって生まれまして、形の無い世界の事を 黄泉 よみ の国と申しまして、形ある此の世を影から支へなさいます。
 そしてその無形の世界から有形の世界へ人を送り出すのです。
 出産は送り出される神の子でした。
 神様の生まれ更りです。
 順繰りで人が死ねば祭祀をして無形の神界へ送り帰すのです。
 送り帰される人は皆んな、日本国の地中へ戻されるのです。
 此処に民族の故郷がございまして故郷祀りがございます。
 故郷に礼儀が伝はっておりました。
 イザナギとイザナミの神が、日と月を併せて祭場になさいます。
 日の神が人の生命の根元になったのが、皇大神であります。
 月の神が人の霊魂の根元になりまして夜の食国であります。
 此の世にも彼の世にも送りと迎へがございまして送り主が月の世界から、大穴牟遅の神になってお出坐し、迎へ主が太陽の世界から、少名彦那の神になってお出坐しです。
 顕と幽の神々なのですが、此の二流れが一年に二回お出坐しなさる時が春と秋のお彼岸なのです。
 此の世と彼の世の間に立つ人間達は深々と礼をつくして春秋のヒガン祭祀をさせて頂くのです。
 仏式だとか神式ですとか云って居るのは此の世のしきたりにすぎません。
 少名彦那の神と大穴牟遅の神がおいであそばすところが産土の神座なのです。
 日本の国土を流れる生命の泉が産土の大神の血汐なのです。
 彼岸祭りは神と人の新生まつりでした。

2015年3月1日

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