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今月のメッセージ


富士山と日本人の関係

日垣宮主


 昔から富士山は日本人にとって特別の感覚を求められてきた。
 けれど、改めて日本人と富士山はどの様な関係ですかと尋ねられた時、正面切って斯の様なつながりがございますと答へられますか。
 そこで今日は宮主と富士山の関り合いからお話い致しましょう。
 宮主が埼玉県の飯能市内に移住し高麗川のほとりに住んで禊の滝を造って東京の板橋から移住し、ひたすら禊と鎮魂に励んだ頃、私の神修を伝へ聞いた人々が珍しい神力を求めて訪れましたが其の中に、富士の神々を尊ぶ一群があって私を富士山麓の道場へ迎えて下さったのですが、道場へ一泊した翌る朝のことです−−庭前から富士山へ向って礼拝した一瞬、私は身動きが出来なくなった。
 遙か向うに富士山が見えて其の御山の真ん中に巨大な黄金の神柱が立ち上った。
 抱へきれないほどの太さでそそり立つ金の柱です。何一つ言はず、只々其処に立ち昇る黄金の柱なのです。
 何も彼も忘れて立ちすくむ私の前の柱はやがて何も告げること無く消へて行ったのですが、その時の私は私が神柱なのか神柱が私なのか分かりませんでした。
 富士山と黄金の柱。たったそれだけが私と富士山の出会ひでした。
 その後、改めて北富士本宮参拝から富士五湖への参拝を致しましたが、只々無心に求めるもの無く礼拝を続けました。
 ひるがへって日本民族と富士山の関係を思ひますと、日本列島の中を流れる火の川と水の川があって火と水の息づきが此の国の民族になっています。此の水火の精が日本民族になり、全国に産土の神々を配置しております南の果てに沖縄を置き北の果てに北海道を置くところの日本国は其の中に、天皇を拝し、天照大神を配しますが、此の配置は古代から築きあげられる、日本民族造成の天意で其の天意の中で生きている民族を天孫民族と言ひます。
 日本列島の中を流れる生命の火と水の中から人が生まれ、生まれた人が一人ひとり自己の生命の根元に流れる火と水の精気で躍動するので言うなれば私達日本人は此の国土に生まれる神のお山なのです。
 そのお山が一人ひとり山の故郷を富士山に求めます。

 “頭を雲の 上に出し
 四方の山(人間)を 見下(おろ)して
 ……
 霞の裾(すそ)を遠く曳く
 富士は日本一の山”

 しみじみと此の歌を思ひ出します。

 火の元の国に栄へあれ
 氷の元の国に栄へあれ
 と吾が身に合掌し父母に合掌し
 不二の生命を拝みまつる。

2015年7月1日

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